「でんきTV」の2007年の夏は、電気自動車の夏でした。近未来に向けて本格的な実用化の期待が高まる電気自動車は、私たちの生活を大きく変える可能性を持っています。住宅にも変化が訪れるかも知れませんし、街づくりにも変革が起きるかも知れない。だからこそ、Switch! the design projectとして取り組むべき大きなテーマだと、空想生活スタッフは考えています。
そこでこの夏「電気自動車のある生活」をテーマに、新しいライフスタイル・街・家の提案を募集しました。そして約1カ月で41案の応募があり、9月10日に行われた審査会によって、最優秀賞1点、優秀賞3点が決まったのです(受賞作への審査員のコメントはこちらを参照して下さい)。
その授賞式を9月15日にいたしました。審査員の安次富隆さん(プロダクトデザイナー)、森尻謙一さん(東京電力株式会社デザインセンター所長)が出席して(建築家の曽我部昌史さんは欠席)、受賞者へ賞状と賞金を授与し、そのあとはささやかなパーティタイムを設けました。
最優秀賞を受賞したpさんは残念ながら欠席でしたが、ご本人から「とても嬉しい!」というコメントが届きました。優秀賞受賞の3人はみなさん嬉しそうなお顔でそれぞれ出席。所有する車から共有する車への変換という提案をしたplugandshareさんは、テレビ局勤務。「持ち主が融通しあう」という案に、「電気をトータルで考えていることが明解」「既存のカーシェアリングからさらに発展した提案」と、安次富さんと森尻さんはそれぞれ評価。続いてのPOREさんは、停車するときに自動車同士がつながることでバッテリーを共有するというアイデア。本業がプロダクトデザインということもあり、形に意味をきちんと落とし込んでみたいと考えたそうです。「くっついたり離れたりすることで、乗車人数の増減に対応できるかも知れない。発展していくと面白そうです」と安次富さん。そして「見えないものをデザインしてみたい」というPOREさんに「それこそまさにSwitch! the design projectがしたいと思っていることです」と森尻さんはコメントしました。
そしてbibiriさんは建築学科を専攻する大学生。「自動車と何かが組み合わさったらどんなことが起きるだろうと思いながら制作した」という応募案は、2階建ての2階部分だけがある別荘にそのまま乗り付けると、自動車がそのまま居住空間になるというもの。安次富さんは「住宅と自動車の関係を考えた提案の中で、個人的には一番面白かったです」と評し、森尻さんも「乗っている時間の短さに対して、自動車は重装備。乗っていない大半の時間に活用できるという点がいい」と講評。

授与が終わったところで、安次富さんから総評がありました。
「自動車に直接関わっていない方々が受賞した点が、まず大きな特色だと思います。電車は石炭からディーゼルへ移行し、そしてすでに電気で走っているのに対して、自動車は今もエンジンを積んでいる。ほかと比べて遅れている分野なんですよね。それをいかに変えていくか。募集回数を重ねていくことでものすごい案が出てきて、実現につながるのではないかと思います。実現するのに大切なのは、マーケットに出来ることの面白さを明確に伝えられるイメージを膨らませること。デザイナーとして大事なのは、多くの人に『これはいい!』と思わせる夢を描くことなのですから」。
今回初めての試みに対して、森尻さんも様々な形で続けていきたいとコメントしてくれました。「大きなムーブメントを起こす、その最初の貴重な一歩となっただろうという期待がある」。確かに、様々な案が一堂に会することで見えてくる物事や、そこから触発されて生まれる新しいアイデアというものがきっとあるはず。みなさん、今後も空想生活と一緒に、電気自動車についてどんどんアイデアを生み出していきましょう!