
<ベクトラン>は、「水を吸いにくい」「寸法安定性が高い」「切れにくい」という特性を備えた、高強力ポリアリレート繊維です。液晶ポリマーを原料として、溶融紡糸にて繊維化されています。この液晶ポリマーの分子鎖が、繊維の長さ方向へ高度に配向されているため、優れた力学特性を発揮できます。たとえば、吊り上げる重量物が100トン以上になると、金属のワイヤをセットするのも一苦労で3~4人は必要ですが、<ベクトラン>製のスリングを使用すれば金属のワイヤを使用するのに比べ、その重量は数分の1で軽量化が図れ、作業も1人で行なうことが出来て効率的。しかも金属のワイヤと違い、吊り上げる物に傷がつきにくく、作業する人が怪我をする危険性も低くなります。こうした各種産業資材分野に使われているほか、防球ネット、アコーディオン式網戸のワイヤ代替として採用されています。
「水を吸いにくい」ので水中での強度低下がほとんどなく、さらに「寸法安定性が高い」「切れにくい」という特性から、例えば、魚が多く棲んでいる入り組んだ岩場でも、<ベクトラン>を用いた魚網は切れにくく、丈夫で長持ちします。金属のワイヤなどと比較しますと、「錆びない」「軽い」という特徴もあります。
日常生活に取り入れた時に、どんな使い方ができるのか。広く、様々なシーンでのアイデアを募集します!
現在は「磨耗に強い」「耐切創性が高い」丈夫な工業用手袋やベルトとして活用される一方で、その軽量さから飛行船の膜材にも使用されています。意外なところでは、「耐放射線性」「非吸湿性」「マイナス100℃を超える低温環境の宇宙空間でも強力が落ちない特性」などが認められ、NASAの火星探査車(1997年「マーズパスファインダー」、2004年「スピリット」「オポチュニティ」)の着陸用エアバッグにも採用されました。
その他、もっと身近なところでは、「電気絶縁性」や「耐熱性」などを活かし、ホットカーペットのヒーター線やイヤホンコード、さらには光ファイバー等の断線を防ぐための補強材として使われています。
<ベクトラン>はもともと淡いベージュ色をしていますが、カラー糸の展開もしています。ブルー糸はバレーボールやテニスのネットワイヤ代替として採用されており、従来のワイヤで問題となっていたささくれ立ちがなく、かつ繊維のため柔らかで使いやすいため、広く受け入れられています。レッド糸は「振動減衰性」を活かし、卓球ラケットの基布として使用され、適度な反発とソフトな打球感を実現しています。