デザイナーの皆さんから「作りたいイメージ」を募集し、それを具体化することのできる材料と技術を見つけていきます。作りたいものを形にするために、思いもよらない技術や素材の使い方を一緒に考えてみませんか?進行は月刊誌「室内」と連動し、3ヶ月間での具現化を目指し、その後には商品化も目指します。
▲Aの文字にエッチング加工され液晶をはさんだ、「ウム」の試作品
▲電源を入れると、かろうじてAの文字に見えますが、完全ではありません。
こうなってほしいのに…
今の状態ではこうなってしまう
 
グラフィックデザイナー古平正義さんによる「光る文字を透明な箱に浮かび上がらせる」アイディアを形にするために、約1年間、メーカーや大学の技術研究者の方などに様々な意見をうかがったり、試作を重ねてきました。前回、日本板硝子ウムプロダクツ株式会社の調光シート「ウム」を使って試作品製作を開始するところまで皆さんに報告した後、しばらく更新をお休みしていましたが、今回は試作品製作の途中経過をお知らせしたいと思います。



試作品製作開始から約4ヶ月、その間に何が起きていたか、前回までの内容をおさらいしつつ報告します。
「ウム」は、ITO膜という透明な伝導性フィルムに液晶をプレスしてあります。ITO膜を古平さんがデザインした文字の形にエッチング加工し、更にプレスしたものを、四角い透明な箱に入れて光を当ててみる。ここまで出来て「試作品完成」です。しかし問題が出てきました。
ITO膜のエッチング加工とプレス作業の工場は別々です。それぞれの作業工程を終えたウムが空想スタッフの手元に届き、早速電源をオンにしたところ…点かない。日本板硝子の高橋さんに顕微鏡で見てもらったところ、なんとフィルムに目に見えない無数の傷が付いていて、この傷が電気を断線しているためフィルムが透明にならないことがわかりました。
なぜこんなことが起きてしまったのか、頼み方に問題があったのか、文字の線が細すぎたのか、工場側の問題なのか分かりませんが、液晶の加工がデリケートな作業だったということも、今回の失敗点です。それぞれの作業にかなり時間がかかるため、ここが振り出しに戻ってしまったのが痛かった。



スタッフが通電を試みていたところ、なんとかAの文字だけ、かろうじて文字の形に見える状態になりました。しかしこれも完全ではなく、傷のためAの中がうまくくりぬかれておらず、Aに見えることは見えるけれども、古平さんのデザイン通りのAではありません。
フィルムの加工作業と並行して、このフィルムを挟むアクリルの透明な箱の製作も進めています。試作を始めた当初は、アクリルの箱の下に電源やスイッチなどの機構部分が入った、大きな黒い箱がありました。この箱がアクリルよりも目立ってしまうため、このプロジェクトの協力者である岡安泉さんが作業を進めてくださり、現在はかなりコンパクトになりました。今はアクリルの箱を加工して、下を三角形にくりぬき、そこに機構部分をぴったりと埋め込もうとしています。
この箱に、かろうじてAに見える文字をアクリルの箱に挟んでみましたが、今のままでは暗いところで見ても、わずかに光っている、というぐらいのレベルです。光をいかに効率よく文字に当てることができるかが、大きな課題です。

今までは、試作品をつくるために様々な人に会い、古平さんや協力してくれている人たちとミーティングを繰り返すという日々でしたが、実際に外部で試作品が製作し始めると、こちらから手出しできない作業内容ですから時間を短縮することができません。その結果皆さんへの報告が遅れてしまっています。「ものづくりの過程でここまできたら、ゴールは見えてきたということですよ」と、協力者の一人である守田幸信さんがこう言ってくださいました。この言葉を胸に、これからも試作品製作を進めていきたいと思います。
次回はアクリルに挟んだ試作品をお見せします。
  
 
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