
「空想生活とのコラボによって、技術優先ではなく、デザイナーの方のセンスやユーザーの方の声を優先して商品を作るのは、私たちにとって初めてのトライアルです」と、映機工業東京支社・橋本清美さん。
オフィスの会議室や学校の教室で、いまや当り前のように備え付けられているプロジェクター。最近では、ホームシアターを楽しむなど、家庭で使われる場面も増えてきました。
けれども、いざ部屋に置いてみると、重量感があり過ぎてインテリアから浮いてしまうこともしばしば。家電だって、コンピュータだって、スペックだけでなくデザインも選べるようになっているのだから、部屋になじむプロジェクターがあってもいいはずです。そんなこだわりを持つユーザーの声に応えて、空想生活とのコラボレーションによって、映機工業ではMacユーザー向けプロジェクターを開発しています。
広く普及しているプロジェクターですが、従来はほとんどが業務用の製品。開発を担当する橋本清美さんによると、どこかいかついデザインのものが多いのも、そのためだといいます。
「まずは技術ありきの世界。デザインにこだわるよりも、機能を突き詰めていくと形状が決まるような作り方が多かったように思います。当時はまだ大きくて重い上に、価格も高く、個人ユーザーが使うようなものではなかったんです。主に公共の場所で使われるものなので、盗難防止のために、あえて悪目立ちするどぎつい色を使うこともありました」
そんな環境が大きく変わり始めたのが、ここ数年のこと。急速な技術の進歩により、プロジェクターの小型化・軽量化が進み、価格も大幅に手頃になりました。また、コンピュータやデジタル家電の普及も後押しとなり、オフィスや学校だけでなく、家庭で楽しむ個人ユーザーも増えています。
「新しい使われ方が生まれてきたなかで、市場のニーズに合致した付加価値の高い製品を提供していくことが我々メーカーの使命です。今回のプロジェクトでは、機能は大前提として、持っていてうれしくなるような製品を作ろうと、特にデザイン面にこだわっています」
今回、新たに開発する製品は、Macユーザー向けのプロジェクター。遊び心あふれる機能的なデザインは、Macの大きな魅力のひとつです。それだけに、周辺機器にもこだわりを持つユーザーは少なくありません。プライベートで楽しむのはもちろん、デザインや映像などの仕事でプレゼンテーション用に使う人も多いため、デザイン性の高さは重要な要素です。
開発にあたっては、空想生活「でんきTV」上に提案をアップ。そこでコメントを募集し、まずはユーザーの声を受けて仕様を決定。専門メーカーとしての技術力を活かし、充実した機能を備えました。DVIコネクタなど、従来のプロジェクターにMacユーザーが抱えていた課題も解決しています。「10年前なら国産車が買える」くらいの機能を備えながら、個人でも購入しやすい価格を設定する予定です。
一方、デザインに関しては、既成概念にとらわれず、デザイナー・三宅一成さんと二人三脚で開発を進めています。社名のロゴさえも、新しくデザインしました。
「メーカー色を出しすぎたために、中途半端なデザインに落ち着いてしまっては意味がありません。センスの良いMacユーザー向けの製品であり、ユーザーとともにモノを作っていく初めての試みだけに、自由な発想を大切にしています」
思い入れやこだわりの強いMacユーザーの意見はさまざまですが、厳しい指摘も含めて、とても参考になったと言います。
「それだけ興味を持っていただいているということですから。何より大きいのは、ユーザーが見えること。できるだけ受け入れて製品に反映させていきたいですね」
開発もいよいよ最終段階に近づいてきました。今回のチャレンジは、社内や取引先からも注目を集めているそうです。誰よりも橋本さん自身が完成を心待ちにしています。
「満足していただけるスペックで、デザインもお部屋になじみやすい。Macとつなげると、とても素敵な空間を演出していただけると思います」

今、デザインの最終の詰めを行っています。モックアップができるのももうすぐ……。