空想マガジン
Pick upメーカー テクノロジライブラリ 第7回
きもと「パネビー(TM)」

特殊ビーズを練り込んだ導光板。小さな光源を均一に発光
短納期・薄型・省エネ効果と自在な用途展開に期待

営業本部商品企画部 太田亮さん

「現物をご覧になりたい方は、株式会社 きもと本社9Fショールームまでお越しください」と、営業本部商品企画部の太田亮さん(要予約。問合せ先:グラフィックス営業部TEL:03-3350-0701)。


アクリルなど透明性のある樹脂の板に特殊な加工をほどこし、端面(エッジ)から入れた光を均一に面発光させる板のことを導光板と呼びます。光源に用いられるのは、細い蛍光管や発光ダイオード(LED)など。その光を面発光させるためには、導光板の表面に光を反射・拡散させるためのデコボコをつくる必要があります。凹凸形成のためには、金型による射出成形やレーザー加工、最近では、転写プリント、インクジェットによる印刷などのさまざまな方法があります。
いずれの方法でも、光学パターンを設計するための工程が必要で、さらに、凹凸パターンを金型で製作するとなれば、数週間は待たなければなりません。
きもとの「パネビー(TM)」もアクリル導光板の一種ですが、これが画期的なのは、アクリルボードの中に光拡散する特殊なビーズをあらかじめ練り込んでいること。そのため、表面処理が不要、すなわち光学設計の手間が要らないのです。
「光学設計を省くことができるので、短い納期で納めることができます。曲げ加工などフレキシブルな加工もやりやすくなりました。パネル自体は従来のものより高価なので、同一のものを大量にというより、単品、少量の注文に向いています」というのは、同社営業本部商品企画部の太田亮さん(写真)。

光源が少なくて済み、環境効果もある

パネビー(TM)の利点のもう一つは、ビーズによる高い光分散効果によって、従来の導光板に比べ、光源が少なくて済み、また商業施設に用いられる電飾ボックスの場合、光源のハウジングをより薄くできること。
導光板の主な用途は、交通広告や商業施設などの電飾ボックス、ディスプレイ、室内装飾、ショールームのインテリアなど。店舗としては導光板を使って効果的な案内表示や美しいディスプレイを作りたいけれども、それが分厚くなり商品の展示スペースを圧迫するのでは元も子もありません。パネビー(TM)は、より薄い電飾ボックスを、という商業界のニーズに応えるものでした。
「蛍光灯が入っていると、どうしてもその存在がアクリルパネルを通して見え隠れしてしまいます。私たちは"ランプイメージ"といいますが、蛍光灯2本ならそれを端の方に隠すことも可能です。パネビー(TM)では光源はLEDも使えますし、光源の消費電力も少なくて済む。環境負荷もそれだけ小さくなります」と、グラフィックス営業部の藤岡信孝担当部長は、デザイン効果と環境効果の二つのメリットを付け加えます。

新しい大型商業施設での使用も続々

同社がこのパネビー(TM)と、表示内容を印刷する画像フィルムをセットにして、サイン市場に本格的に参入したのは2006年の春。すでに丸の内、八重洲など東京駅周辺の新しい大型商業施設などに、パネビーを活用した電飾看板やディスプレイが登場しています。
「当社が直接施工するわけではないので、すべては把握できていませんが、新設の商業施設大型への導入事例が続いています。ランプイメージのない、すっきりとした薄型、省エネ看板として注目度は高い」と、及川克信グループリーダーも手応えを感じています。

デザイナーとのコラボでユニークな用途を開発したい

今後期待したいのがサイン市場以外の用途開発。お洒落なバーの間接照明やほんのりと光るバーカウンター。基部にLEDを仕掛けた特殊なワイングラスをつくれば、グラス自体が美しく発光します。スイッチをオンにすると必要部分が光る家電。夜道や暗い部屋の中の道案内になる導光棒など、生活資材分野への展開も考えられます。
「写真用の薄型ビュワー、医学検査用、治療用機器、創薬のための化合物スクリーニング用照明など、専門的な用途提案もすでにあります。これまで私たちは部材としての"板"を売るつもりが強かったが、今後は他企業やデザイナーとのコラボを通してユニークな最終製品にまでかかわっていければ」と、岡田健造担当部長も意気込んでいます。
かつて社内プロジェクトでは、パネビー(TM)は「魔法の板」と呼ばれていたとか。どこを切っても均一に光るという特性が、魔法のように見えたのです。ここからさらにどんな新しい魔法が生まれるか、期待が膨らみます。