空想マガジン
Pick upメーカー テクノロジライブラリ 第3回
東京木工所「エコプライ」

循環型社会を実現するための小さな提案。
廃プラと廃木材から生まれた再生ボード「エコプライ」

エコプライ

廃棄プラスチック、廃木材から作られた環境にやさしい素材「エコプライ」。 現在は、建築用のコンクリート用型枠材として主に使われている。


使えなくなった文房具、食料品やシャンプーの容器……私たちの周りにはプラスチックのゴミが溢れています。廃棄プラスチックは、家庭から出る不燃ゴミの6割を占めるともいわれます。産業廃棄物として出されるプラスチックの量は年間1000万トン。かつてはその多くが単なる焼却や埋め立て処理をされていましたが、最近では燃料としてリサイクル(サーマルリサイクル)される率が高まってきました。  いっぽう建設工事の現場から出る廃木材の量も膨大です。その量は、国内で年間500万トン。これもたんに燃やすのではなく、最近では廃木材からバイオエタノールを生産するプラントなども動き出しています。  廃プラと廃木材──いずれももともとは限りある地球資源。これを有効的に再利用することで、循環型社会形成の一翼を担えないか。そうした思いから生まれたのが東京木工所の「エコプライ」です。

有害物質の発生を抑え、何度も再利用可能

「エコプライ」は、廃プラや廃木材を集め、粉砕・繊維化・攪拌・混合し、さらに熱圧で成型した再生樹脂ボード。これまでのサーマルリサイクルより、さらに一歩進化した活用法ということができます。熱圧成型の過程で、繊維化されたプラスチックが木材チップを強固につなぎ止めるため、接着剤なしに高い強度を発揮します。ホルムアルデヒドなど有害物質の発生も抑えることができ、さらに何度も再利用できるのが最大の利点です。  7年前からこの製品化に取り組んできた東京木工所。「最初は小さなプラントでの実験。量産までに3年かかりました」と、谷口政幸社長はその苦労を語ります。  現在の用途は、建築用のコンクリート用型枠材。原料は、建築現場や産廃業者から持ち込まれた年間6900トンの廃プラと4600トンの木くず。これを再生し、ボードに仕立て、工務店やゼネコン向けに年間112万枚の販売を目指しています。現在の型枠材の多くは南洋材の合板がほとんどですが、森林資源保護の観点から原木伐採量は減少ぎみ。「いずれ南洋材は使えなくなるかもしれない。しかしエコプライ約40~50枚で南洋材1本を代替することができる」と谷口社長は南洋材からの代替需要の伸びを期待しています。

付加価値の高い用途を拡大させたい

 谷口社長がいま研究を重ねているのは、型枠材以外の用途拡大です。エコプライには何度もリユースが可能などの利点のほか、表面の平滑性や遮音性、断熱性、腐りにくいなどの特性があります。プラスチックと木くずの混合でできる模様には意外な意匠性もあるし、もちろんさまざまに着色して利用することも可能。型枠材としてはベニヤ合板よりも重いのですが、別の用途ではそれが利点になる場合も。成型厚みは7ミリ程度が限度。熱、水によって多少の変形はありますが、これも用途次第では難点にはならないでしょう。  これまで同社では、積み木、コースター、家具、オーディオボード、オフィスのパーティションなどへの応用研究を重ねてきました。 「大量使用というよりは、多品種少量使用でも、付加価値の高い使い方を考えていきたい」と谷口さん。付加価値化にあたっての大切な視点は"サスティナブル"ということ。ペットボトルのキャップを回収するボランティア活動や、マレーシアやミャンマーにおける植林活動に協賛している同社ならではの、実践に裏付けられた考え方です。いま神奈川県内を流れる鶴見川では、生物多様性保護のプロジェクトが進んでいますが、その取り組みの一貫として川岸にエコプライでつくったベンチを設置する計画もあるといいます。  環境へのこだわりを、机上論ではなく、具体的なプロダクトとして示すという強い意志が、この製品にはこめられています。


東京木工所・谷口政幸社長。7年前から製品化に取り組み、現在は用途の拡大を模索中。「私たちの思いもよらないような、用途・デザインの提案に期待しています」。


インテリアや雑貨などへの応用も検討されてきた。 最近、技術的に塗装が可能となったことで、用途の広がりがより期待される。