知らない人同士が、ぎゅう詰めになる場所。電車やバスもそうですが、今回マスッチが描くエレベーターがまさにそう。
「でしょ。狭くて四角い箱のなかにあんなに人がたくさん入っているのも不思議だし、知らない人たちなわけだから、よそよそしい。エレベーターの中を描くときは、この『よそよそしさ』がポイントなんです」。おぉ、マスッチ、人間観察もバッチリです。
エレベーターに乗るシチュエーションとしては、オフィスビルといった「お仕事モード」と、デパートや商業施設といった「お遊びモード」に大別できます。お仕事モードの時は、やっぱりスーツ&ネクタイの男性が登場。タクシー同様、乗る順番と位置にも独特のお作法があるのを、イラストにもいかします。新人君は、最後に乗って操作盤の前をキープ。壁に背を向けて、上役やお客様の乗り降りをガイドします。お遊びモードの時には、家族連れで乳母車も登場したりすると、グッと休日感が高まりますね。最近減ってはいるものの、エレベーターガールがいたりしたら、それはオフィスビルでは絶対にありません。
エレベーターの要素は、操作盤と狭い空間ぐらい。操作盤を細かく描き込むよりも、中にいる人の様子が分かる方が、雰囲気が伝わってくるというわけです。
「で、意味もなく階数の表示を見上げていたりするんだよね。あの空気、やっぱりエレベーターって独特!」。そうそう、所在なさげな密室、それがエレベーターなのです!