脚があって座面があって背があれば「椅子」になる。たったそれだけの要素から、数え切れないほどの椅子がこれまでに生まれてきました。デザイン、サイズ、機能、色、素材、製造方法など、様々なアイデアや技術を駆使して、多くのデザイナーが、そして多くの開発者や技術者、そしてメーカーが、いまなおたくさんの椅子を作り続けています。
毎日の生活の中で、食事の時、くつろぐ時、そして働いている時、すべての時間に椅子は私たちと一番密接に関わる家具です。そして今回、「空想無印」が取り組んでいるのは「ワーキングチェア」。長時間座り続けるアイテムだからこそ、空間になじみ、疲れにくく、そして「とにかく座りたい」と多くの人に思ってもらえるものにしたい。無印良品と空想生活は、長く愛される一脚をユーザーのみなさんと作り出そうと、このプロジェクトに挑んでいます。
「ワーキングチェアというと、どうしても堅苦しいイメージがあると思います。そしてダイニングチェアなどと比べてごついことから、家庭の中にあると浮いて見えてしまう。家具だけが主張することなく、ユーザーの視点の入ったものを、ぜひ作りたい」というのは、今回のプロジェクトを担当してくださっている無印良品のファニチャー担当カテゴリーマネージャーの角田徹さんです。無印良品の家具は、角田さん率いるファニチャーチームから生まれているのです。累計160万台以上も売れた大ヒット商品のベッド「脚付マットレス」をはじめ、無印良品にはロングセラーと呼べる家具のアイテムがあります。今回のワーキングチェアも、「無印良品のワーキングチェアといえばこれ!」と認めてもらえる商品にしたいと、角田さんも空想生活も考えています。無印良品らしさ、たとえばシンプルで単純な作り、使い勝手の良さ、アノニマス、定番商品といった点は積極的に盛り込みつつ、そこに空想生活のユーザーの視点が入ることで、さらなる魅力が生まれるはずだとも思うのです。
「ほかの椅子と異なり、ワーキングチェアは機構が必要なものですし、男性の視点で考えてしまいがち。でも実際には、女性の方だってもちろん使ってらっしゃる。その女性の視点で見た時に、どんなデザインやサイズが求められているのか、このプロジェクトにどんどん声を寄せていただきたいです。そしてオフィスで使うものと限定しがちですが、パソコンを使ったり、読書をしたり、家の中でも活躍するアイテムです。汎用性が高く、環境にも配慮していて、何といっても魅力あるものを作るには、一人でも多くの人からのコメントをいただけると嬉しい。僕たちが考えつかないようなコメント、大歓迎です」
5月にはワークショップを開催し、参加してくれたみなさんとともに「空想無印らしいワーキングチェア」について語り、アイデアを出し合いました。そして7月20日までにみなさんからの声を寄せていただき、8月下旬からは製品企画の検討を始めます。試行錯誤をへて、試作品が公開されるのは来年2月の予定。そしていよいよ2009年5月には、先行予約受付開始! 商品が目の前に現れるまでに、どれだけユーザーのみなさん、デザインを寄せてくれる人たちとやりとりをすることが出来るかが、このプロジェクトの醍醐味であり、いい商品が生まれるかどうかを大きく左右することになります。一人でも多くの方と一緒に、このワーキングチェアを作っていきたい。ぜひサイトをチェックして、どんどんコメントを寄せて下さいね!
>空想無印:無印良品といっしょにつくろう!「ワーキングチェア」
角田さんを取材した日は、無印良品の08年秋冬新作展示会の最中でした。新作のソファ、ベッドや収納家具が並ぶ中、「来年はここにワーキングチェアが……!」と期待と決意を新たにいたしました。
また、角田さんにワーキングチェアの開発ポイントを教えていただきました。いつもこのようなポイントシートを作成し、開発のビジョンをチームで共有するそうです。
○ 方向性
1.汎用性・・・使い方を限定しない、アノニマス、自由度の残る
2.機能性・・・使い勝手、単機能による強さ、新素材
3.わかりやすさ・・・シンプルで単純な作り、構造を隠さない
○ キーワード
1.モジュール・・・高さや幅が揃う、コンパクト
2.環境への配慮・・・省資源、リサイクル、分解できる
3.長く使う・・・本物、キズがつきにくい、定番になる
4.かっこいい・・・他社にない、愛着がわく
○ 開発のポイント
1.スタンダード・・・定番として、インテリアとして
2.なるほどの要素・・・サイズ、取り替えられる
3.女性がほしくなる・・・カラー、サイズ、軽さ