空想マガジン
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地球環境とエネルギー

インタビュー 東京大学大学院教授 松橋隆治さん

でんきTVが取り組んでいる「Switch! the design project 電気自動車のある生活」はご覧いただけましたでしょうか。 年々注目が高まっている電気自動車は、エネルギーを有効活用するという大きな可能性を持っています。 環境問題に真摯に取り組むためには、エネルギーについての知識を身につけることが肝腎。 そこで今回は、東京大学大学院教授で工学博士の松橋隆治先生に、いま知っておくべき環境問題とエネルギーについてうかがいます。

松橋隆治先生

「気候変動」というとらえ方

私たち日本人は、環境問題について「温暖化」という側面から話すことが多いのですが、世界規模で俯瞰すると、把握すべきは「気候変動」なのだと松橋先生はまず説明してくれました。

「地球環境問題は20世紀後半からの問題だと思われている方もいらっしゃるかも知れませんが、 ヨーロッパでは19世紀後半からすでに研究されていて、1896年にはスウェーデンのアレニウスという科学者が、 CO2による温暖化の影響を指摘しています。ただしCO2は地球にとって一切不要なわけではありません。 CO2が全然なかったら、気温は氷点下になってしまいます。ですからCO2が大気にあるから一定の暖かな気温が保てて、 生物が住みやすい環境が作られているとも言えます。大気のバランスが崩れ、深刻な問題になった大きなきっかけは、 やはり産業革命が挙げられます。石炭など化石燃料を大量に消費するようになり、 大気中の二酸化炭素の濃度がぐんと上がりました。また多くの人が指摘しているように、森林を伐採したことも、 二酸化炭素の増加につながっています。それらによって生活に適していた大気中の二酸化炭素の濃度のバランスが 保てなくなり、気候が変わるまでに至ってしまった。このことに危機感をつのらせ、 20世紀後半から活発な討論や研究が行われるようになっているのです」

ひとつひとつ、前に進んでいる

ニュースでは毎日のように環境問題が取り上げられていますが、なかなか事態が好転しているようには見えません。 実際はどうなのでしょうか。 「環境問題に取り組む国際的な交渉の場として初めて設けられたのは1972年の国連人間環境会議で、 ストックホルムで行われました。『かけがえのない地球』をキャッチフレーズに114カ国が参加し、 世界が環境問題に取り組むきっかけとなったのです。砂漠化、熱帯雨林、野生動物の保護、酸性雨などが、 国境を越えて議論されるようになった。そして80年代にはオゾン層保護のための国際的な対策の枠組みを定めた ウィーン条約が採択、発効。この頃からはサミットでも環境問題について言及されるようになりました。 そして97年には京都議定書が議決され、参加各国の温室効果ガス6種の削減目標が掲げられたのは、 みなさんも記憶に新しいのではないでしょうか。日本の目標数値はマイナス6%。 いよいよ来年から5年間にわたる第一約束期間、つまり実行しないといけない期間が始まります。 環境問題は後退しているわけではなく、アレニウスの指摘から100年以上の時を経て、 我々人類はひとつひとつ前に進もうとしているのです」 確かにその通りで、長い時間をかけて人間がつくり出してしまった環境問題に対して、 人類が自らの責任としていかに行動すべきか、解決策を練って実行に移しているのが21世紀のいまなのですね。

長いスパンで見据えていく

「京都議定書の目標数値を達成するためにも、家庭と車のエネルギーを見直すことはとても重要です。 この二つで全体の約3割のエネルギーを占めていますから、ここを減らすことが肝腎なのです。 ところでスーパーマーケットでレジ袋を1枚もらわなければ、100グラムのCO2が削減できることはご存じですか」 えっ、そんなに!? 明日から買い物袋持参します! 「そう、具体的な数字が見えると、やる気になりますよね(笑)。先日も、あるテレビ番組の企画で、 いくつかの家庭に『省エネナビ』という、電気エネルギーの消費量を計測できる端末を取り付けて生活してもらったんです。 エアコンの温度を1度下げる、部屋の明かりをこまめに消す、冷蔵庫の冷却目盛りを強から弱にする、 それらすべてがCO2の削減に有効だということが目に見えてわかるわけで、みなさん本当に熱心に取り組まれ、 その結果すごく削減できたんです。生活スタイルをなかなか変えにくいという方たちには、 エアコンや冷蔵庫を買い換えるときに省エネ効果の高いものにすることをすすめます。 それでぐんと変わりますから。そうそう、パソコンのつけっぱなしは冷蔵庫なみにCO2を放出するので要注意です。 電気自動車も、エネルギーという視点で見たときにCO2の削減につながります。 バッテリーの軽量化や一度の充電での走行距離の長距離化などの開発、インフラの整備といった先行投資が必要ですが、 十年単位の長いスパンで取り組み、開発を続けていくことになるでしょうね」 そう、未来の私たちの生活、そして未来の地球を見据えて、電気自動車は進化を続けていく。 空想生活も、みなさんと一緒に「Switch! the design project 電気自動車のある生活」にじっくりと取り組んでいきたいと思います。

京都議定書と地球の再生

松橋先生は、その著書の中でも、地球温暖化防止のために何をすべきか、技術革新・ライフスタイル・南北問題と、幅広い視点で解説されています。
松橋 隆治 (著)  日本放送出版協会 (2002/09)
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