空想マガジン
デザインの舞台裏 第8回 
ziba tokyo 代表 平田智彦さん

リサーチを通して実感するのは、
発想するという行為は、デザイナーだけではなく
広く一般の人たちも潜在的にしているということ

平田智彦さん

「デザインをベースに、ヴィジョンをエンジニアリングする会社」。今回登場の平田智彦さんは、代表を務める「ziba tokyo」の活動内容をそう説明します。平田さんは大学卒業後キヤノンにデザイナーとして入社、その後、ziba u.s.a.、アクシスを経て2006年2月にziba tokyoを設立、プロダクト、グラフィック、インテリア、WEBなど、幅広い分野のデザインを手がけています。ちなみに社名の zibaは、ペルシャ語で「美しい」という意味なんですって。

ユーザーが感動するポイントを探す

「商品を開発していくなかで、デザインリサーチはとても重要です。だから僕達は必ず現場に赴いて、消費者の行動を観察する。そのなかでわかることがたくさんあるんです。消費者自身が発明家だと驚嘆する瞬間はこれまでに何度もありましたし、メーカーやデザイナーよりも消費者が一歩先を行っていることも多い。僕たちはそういった視点から新たな発見をして、将来へのアプローチを行っています。何を発見するか、それはユーザーが感動するポイントです。感動という体験、生活の変化をデザインに置き換えていくのです。そしてデザインリサーチをするには、異なる分野の人間がいることがプラスに働きます。ziba tokyoにはデザイナーはもちろん、MBA取得者や大学で文化人類学を学んだスタッフもいます。このことによって、デザイナーとは別の視点からリサーチ項目を挙げることが可能になり、発見の機会が増えるというわけです。スーパースターでなくとも能力のあるスタッフがいることが、我が社のセールスポイント。足し算ではなくかけ算になっていきますから」

プラスの発想でプランニング

柔軟な発想と、発見する眼を大切にしているziba tokyo。いま、空想生活のくうきTVに参加しています。「やさしいくうき illumine」と題した、煙草の煙を魅力あるものに変えようという提案です。 「煙草を取り巻く環境に対して、いかに清浄するかという考えとは別のアプローチが出来ないか、清浄とは別の視点で快適を作り出せないかと思ったのがきっかけです。煙って、光が当たるときれいでしょう? そのきれいさを活かすと、新たな体験につながるかも知れない。そこから生まれるコミュニケーションもあると思うのです。デザインは『人が介在する余地』のあることが大事。今回もそのことを念頭に置いた提案です」
新人スタッフと外国人スタッフが考えたものは、灰皿。吸いかけの煙草を置くと煙に光が当たり、そしてスマイルマークが空間に浮かびあがるというものです。スモーカーが「煙草環境」を再認識するきっかけになり、ノンスモーカーの人は思わず微笑みたくなるようなユーモアがある。見ていて周りの人に優しくなれますね。なるほど! これが平田さん言うところの「新たな発見」なのですね。

「発想する楽しさ」に気づくきっかけを

「発想するという行為は、デザイナーだけが行うものではありません。広く一般の人たちも潜在的にしていることを、リサーチを通して実感しています。ただ、どのように提案したらいいのか、形にしたらいいのかという手だてがないために、世の中には発信されないということが大半だと思います。ここに空想生活が果たせる役割は大きいですよね。アイデアを形にすることの面白さをたくさんの人にわかってもらって、ゲーム感覚で商品開発できるようなツールが構築できたらいいのではないでしょうか。わかりやすくて楽しいって、大事なことですから」

写真

煙に光を当てると、ぼんやりと輝く。場にいる人たちが優しい気持ちに。そんな「実験」をしてくださいました。

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