デザインの舞台裏 第5回 ( Part 1 Part 2 )(株)良品計画 安井敏さん
前回に引き続き、無印良品の母体である、(株)良品計画・商品本部 生活雑貨部 企画デザイン室長の安井敏さんに話をお聞きします。
無印良品の品揃えの豊富さは、誰もが認めるところ。食品、生活雑貨、家電、家具、衣類……。季節ごとの新作とロングセラー商品で展開するアイテムは、総数7000アイテムを超しています。
「無印良品の商品の特徴に、『素材』を引き出す力があると思っています。不要な飾り立てをすることなく、素材そのものの魅力をきちんと商品に活かすということですね。そして『道具』として充分に機能すること。それらが合格点に達しているからこそ、『デザイン』も備わってくるのではないでしょうか」。
アイテム単体で考えるのではなく、生活者の視点で必要な商品という考えからトータルの商品企画が出来るのも、無印良品の強みです。
「たとえば、収納家具はモジュール化して、ひとつでも大小組み合わせても使えることは、多くの方がお分かり下さっているかと思います。その上でさらに、家具と家電のサイズを連動させるといったこともしています。カーテンといったファブリックスと衣類をつなげることだって、可能なんですよ。そういう細かな調整を行うことが、生活のしやすさや豊かさにつながるはずだと、我々は考えているし、役割だと自負している。無印良品だからこそ、出来ることなのですから。さらには、引き算も足し算も思いのままに出来ることが、無印らしさでもあります。定食のようなセットメニューではなく、一人一人に合った商品選びがあることを、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っています」。
幅広い人に向けた商品でありながら、組合せや使い方次第で「マイ無印」になる、それは大きな魅力です。40アイテムから出発したスタート当初に比べると、いまの無印良品はとてつもなく巨大なマーケットに向けた品揃えです。だからこそ、「カスタマイズ出来る」楽しさを伝えたいと、安井さんは言います。実は今回の安井さんのお話には、「空想無印」の提案に通じるヒントがたくさんあります。無印良品らしさとは何か、マスでありながら個であることの面白さ、単体で考えずに俯瞰すると見えてくること……。
「商品開発の手段に定義はなく、様々な方法があっていいはず。空想無印が今後、新しいものづくりの場として機能すること、フレキシブルな存在であること、そしてたくさんの方から提案があることを期待しています」。