「自分が本当に欲しいもの」「自分にとって必要なもの」は何かをユーザー自身が考え、声に出し、賛同者そして形にしてくれるデザイナーやメーカーとつながって、新たなアイテムを生み出していく。空想生活は、その仕組みを構築し続けています。ユーザーが考えている「欲しいもの」は、単に個人の思いつきを超えて、多くの消費者が望んでいるものかも知れない。小さな芽から大きな樹が育ち、たわわに実を付ける可能性を、僕は信じている。空想生活の存在が「ユーザーイノベーション」として世界的に注目されていることも、僕はこの数年特に実感しています。
身の回りのほんの小さな用品から、一生物という認識が(特に日本では)強い住宅まで、ユーザーから生み出されるという視点でものづくりをとらえると、従来とは異なる作り方や流通、そして商品の価値が生まれると思っています。物を生み出す力、それはデザイナーが誇るべき大きな資産ですし、ひとたび生まれたものが広く愛される商品であれば、ロイヤリティという目に見える形で自らにフィードバックされます。そしてユーザーも、その発想力を持ってすれば、デザイナーになれる可能性があるのです。空想生活は、閉ざされたコミュニティではありません。日々の生活をしている誰もがユーザーであり、デザイナーであり、ものづくりに関わることが出来るのだということを、この連載では本を媒介としてみなさんにお伝えしてきた次第です。
約2年間で紹介した約40冊の本は、写真集、SF小説、デパートのカタログ、新聞の連載をまとめた私家版の自伝、ビジネス書‥‥。こうやって並べてみると、まとまりのないラインナップでお恥ずかしい。でも僕にとっては、幼い頃から何度も読んで愛着があったり、新たな発想の源となるきっかけとなっていたり、どれも自信をもっておすすめしたい一冊だったのです。この連載で紹介したことをきっかけに、どれか一冊でも興味を持って読んで下さる方がいらしたら、店主冥利に尽きます。
今回でこの連載は一区切りです。ご愛読ありがとうございました。次回からは、店を飛び出して、空想生活を体現するような連載に模様替えをいたします。僕自身が一ユーザーとして、CUUSOOの世界に飛びこみます。客観的な立場になって初めて見えること、思いっきり主観的に感じたこと、多くの人と関わって分かること、いろんなことをお伝えできるのではないかと、スタッフとミーティングを重ねている最中です。これまで以上に、読者のみなさんとの距離が近くなれば嬉しい限り。どうぞよろしくお願い申し上げます!
今日からできる25の方法(「いえしままちづくり読本」より)
1人でできること
01. 家の前を掃除する
02. テレビを見る時間を少し減らす
03. ザルを持って魚を買いにいく
04. 写真を撮る
05. 友達を連れてくる
06. 空き地を宣伝する
2人でできること
07. ゆっくり歩く
08. この本を読み聞かせる
09. 年賀状を送る
10人でできること
10. いいところを褒めあう
11. 「昔はよかった」をやめる
12. お弁当を持ってウヅキヨウカする
13. 使いやすいように開放する
14. 草刈をして公園をつくる
15. ガイドブックをつくる
16. 生きるための技術を学ぶ
100人でできること
17. 中学生が高齢者に昔話を聞きにいく
18. 意識的に行動する
1000人でできること
19. 道案内をする
20. 山を育てる
21. 楽しみを仕事にする
22. 島の中で循環させる
23. 当たり前を見直すときは婦人会に依頼する
24. 子育てしやすい環境を維持する
25. この本を上手に使う
NPO法人いえしまが進める、離島のまちづくりプロジェクト。 仲間を集めることによって理想の暮らしの実現を目指す「いえしままちづくり」の姿勢は、 空想生活の「ほしい」をカタチにする過程に通底する部分があるように感じます。