はじめにお伝えしておくと、今回の話は僕が何を言いたいのか、分かりにくいかも知れません。ちゃんと文字に出来ないのがもどかしく、申し訳ないのですが、「『言葉』以外の言葉が存在している」ということを伝えたくて、でもそれはとても難しいことだという自覚があるからです。
心では認識していても、言葉に出来ないことがあります。指し示す言葉を知らないということももちろんありますが、それを超えた、未知の領域があると思うのです。僕はそれを察知したいといつも思っていて、そうするためには止まってはいけない、走り続けなければいけないとも思っている。「未来は後ろにあって、我々を追い越していく。未来が現在になる瞬間、それこそ全てだ」古代ギリシャ人は、そう考えていたと言います。だから僕は決して止まらないで、未来と共に走りたい。僕たち「空想生活」は、いつも先を見つめている。つまりは未来を見つめている。すでにある「過去のもの」とは違う、まだ形にはなっていないけれども欲しいと思う「未来のもの」を求めている。
どうしていいのか分からないとモヤモヤしていたことが、どうすればいいか分かった瞬間、目の前の霧が晴れたかのようにスッキリして、その前後では大きな変化が起きていることってありますよね。まだ形になっていなかったり、言葉が存在しなかったりしているけれども、何を求めているかは分かっている。何とかしてモヤモヤを取り除きたい──そういう状態が空想生活を生み出したとも言えます。それが何なのかを「発見」していくことが、空想生活の大きな役割です。過去の出来事をどれだけ機械的かつロジカルに分析していっても、未来に向けての答は出ないことがあるから難しいしもどかしい。言葉にならない心の奥底で、静かに、でも確かに認識していることが、物事の根幹をなしていることが多いからでしょう。
この気持を見事に代弁してくれている本に出会うことが出来て、僕は胸のつかえが取れました。アメリカの哲学者ロバート・パーシグ(ROBERT M. PIRSIG)の『禅とオートバイ修理技術』です。何とも理解しにくいタイトルが付いていますが、電気ショック療法で記憶をなくした父親と、戸惑いを覚える息子との、オートバイでの旅を記したノン・フィクションです。僕が今回伝えたい、言葉になりにくいものをどうとらえたらいいのかがわかる指南書であり、哲学書であり、ビートニクの空気にあふれた一冊です。僕は英語で読みました。誰もが楽しめる内容ではないかも知れないけれども、興味のある方はぜひ原書で読んでいただきたいです(原題:ZEN AND THE ART OF MOTORCYCLE MAINTENANCE)。英語自体は難解ではありません。そしてこの本に強く共感なさった方がいらしたら、ぜひ連絡を下さい。深いところで、理解し合えると思うのです。
最初に勤めた会社でのパートナーから手渡されて以来、何度も読んで手元にある僕の本はボロボロになってしまいました。
最近のお気に入りの書店は恵比寿にある「GOOD DAY BOOKS」。洋書専門の古本屋です。気軽に買えて、新しい視点を見開かせてくれる。足繁く通っています。