空想マガジン
ニシヤマ書店 第31回 環境マーケティング大全
これまで数回にわたって、ユーザーイノベーションの考え方をいろいろな側面から紹介してきました。今回は少し視点を変えて、ものを活用して資源を有効に使うということを考えてみたいと思います。

環境という言葉が、すなわち自分たちを取り巻く環境問題としてとらえられるようになって、どれぐらいたったでしょう。実は僕の大学の卒論は、ゴミについてをまとめたもの。現代社会でなぜゴミは増えたのか、それを論じました。同じ部屋でもちゃぶ台があればダイニングに、座布団があればリビング、そして布団を敷けば寝室にと多様性のあった部屋のあり方が変わり、ひとつの部屋はひとつの役割を担うようになり、専用の道具も増えていった。ものと空間の使い方が変わったことで生活は便利になったけれども、同時にものが膨大に増えていった。振り返ると、可塑性の高い生活は、実は豊かといえるのではないか──要約するとこのような論です。いま僕は、ものをつくることを仕事にしています。それもまた、欲しいものを手に入れる手段が確立すれば、ながく使えることにつながるという考えがあります。ものをつくるようになったきっかけというか原点が、ゴミというわけです。

つくってから売るのではなく、欲しいものを欲しい数だけつくるという考え方は、つくり過ぎや不要品の生産に歯止めをかけ、資源の活用の効率化につながる。アルビン・トフラーは『第三の波』(ニシヤマ書店第11回で紹介)で、使う人がつくる人=プロシューマーとして指摘していますし、今回紹介する本の著者である大橋照枝さんは、「ネオ・カスタムメイド」と定義し、エレファントデザインの活動を評価してくれています。環境の視点から自分たちの活動を見てくれていたことに、大きな喜びを覚えました。

高度経済成長期においては、消費を促し、新製品を買ったらそれまでのものは廃棄するような仕組みを、企業はつくっていました。消費のメカニズムを解明して購入を促進させることが、マーケティングでした。しかしいま、それだけではまかり通りません。売ったらその先にある廃棄の方法やリサイクルのシステムまで考えることが、新しい経済活動となっています。ものをつくることと環境のことは、相反することではなく両輪なんだと感じています。

大橋さんは「環境マーケティング大全」のなかで、エレファントデザインを「ネオ・カスタムメイド」の実例として取り上げてくれています。売りたいからものをつくる、それはメーカーの大前提ですが、回収したりすることも、企業の使命となっています。「コストがかかってもすべきこと」なのです。

大橋 照枝 (著) 麗沢大学出版会 (2002/07)

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