空想マガジン
ニシヤマ書店 第24回 Some Turtles Have Nice Shells
Some Turtles Have Nice Shells
働く。それは様々な環境や条件のもとに行われていることで、過ごす時間の長さも、得る収入も人それぞれです。と言いながら、会社に自分の時間を提供して、給料をもらうというシステムが現代の日本では成立し、定着している。時給、月給、年俸。長さは異なるものの、単位はすべて時間です。労働時間を会社は買っているというわけです。
売るものを変えてみませんか? これが今回の僕のメッセージです。それは何かといえば、知恵。僕たちは毎日の生活のなかで、さまざまな工夫をしながら過ごしています。工夫はつまり知恵です。自覚している知恵もあれば、知らず知らずのうちに編み出して、何気なく使っている知恵もあるはず。生活の工夫とよく言いますが、それは知恵の宝庫と言いかえられるのではないでしょうか。「ほしいものがほしい」を合い言葉に、空想生活は、知恵を発表して、それを欲しいと思うユーザーを集めて、そして形にすることを日々行っています。いまもいくつもの知恵の種から芽が出ています。幹が伸び、葉が茂り、実がなる。つまり商品化ですね。これが発展すると、ロイヤリティという形で、知恵の提供者に還元されます。
現実に、空想生活からロイヤリティは発生しています。自分の考えを試作してみて、応募者を募り、商品化され、売れ続けることで、ロイヤリティは継続的にデザイナーに払われる。毎日の自分の暮らしをより楽しくしたいと編み出した知恵が元になって、公開することで、収入を得ているのです。いまはブログを使って、自分の考えをいとも簡単にたくさんの人に公開出来ます。それを的確な場所で公開することで、収入につながる可能性があるのです。今回紹介する「Some Turtles Have Nice Shells」は、キャンピングカーを自分の好みにしつらえて住みかとしているRoger D. Beckが出した本です。本のテーマ自体が、僕がこの連載で伝えたい内容とバッチリ合うし、それにたくさんの知恵が詰まっているのにも注目しました。プロの仕事ではないし、精度は低いかも知れませんが、アイデアを最初に思いつくことの大事さを再認識出来ます。もしこの本を自動車メーカーの人が見て、商品化したら……。それは充分あり得る話なのですから。
もっともっと空想生活のシステムがひろがれば、働くこと自体に変化が起きるかも知れません。いや、きっと起きるはずです。製造業など多方面において機械化が進むなか、人間が何をすべきかを、今後も真剣に考えていきたいと思います。

ネットでR.D.Beckの本を買うと本人がサインをしてくれます。ちょっとうれしい。移動できる家って、本当にすばらしい。だって自分の家に住みながら、旅もできるんですから。

「Some Turtles Have Nice Shells」
Roger D. Beck (著) Pine Hill Graphics(2002年12月)