空想マガジン
ニシヤマ書店 第15回 GK Design 50 years 1952-2002 (4)
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
300万円住宅。水回りや開口部といった住宅の基本部分を300万円で確保して、それ以外のリビングやダイニングといった部屋をあとから派生させることで、現状の異常なまでに高額な住宅事情に変革を起こせるのではないか・・・。前回お伝えしたこのアイデア、さらに踏み込んで考えてみたいと思います。
日本で住宅を建てる際に避けては通れない「土地の保有」に対するステップを無視した考えではあるものの、果たして本当に実現不可能なアイデアなのだろうか。ここで大きなヒントとなるのが、トレーラーハウスの存在です。トレーラーハウスは、広大な国土を持つアメリカにおいて、居住空間を確保しながら移動する手段として発達して来た歴史があります。我が国ではキャンプ場における宿泊施設としての需要が高いようです。
インターネットで「トレーラーハウス」と検索すると、キッチンや浴室といった水回りは標準装備であることが多く、開口部も一般の住宅同様開いている。オプションで断熱仕様の開口部にしたり出窓にしたり、ブラインドを取り付けたり……。これはもう住宅そのものではないですか。値段も100万円台から揃っていて、300万円住宅の味方として心強い存在であることは間違いありません。
現在の我が国の建築基準法では、「規模、形態、設置状況などから判断して、随時かつ任意に移動できるものは、建築基準法第二条第一号に、規定する建築物には該当しない」とあります(平成9年3月31日 建設省(現国土交通省))。つまり、移動できる範囲での床面積であり、階数であり、固定されていない配管設備といった装備であれば、建築にはあたらないということ。基礎工事がいらず、建築としての確認申請なども必要なく、住宅のコアユニットを獲得出来る可能性を秘めているのです。作業の密度の高い部分は、狭い方が効率もいい。コアユニットをコックピットと言い換えてみると、より僕の考えが伝わるかも知れません。トレーラーハウスが住宅のコックピットとなるのです。ここ数回にわたって引用している「GK Group 50years 1952-2002」の中でも、家具などを移動しながら展示するための車の提案があります。 ご承知の通り、トレーラーハウスは固定住居としてスタートしていません。先の建築基準法も、固定しないことが基準となっています。それでは住宅ではないという声が聞こえてきそうです。
本当にそうでしょうか? いま僕たちに必要なのは、土地の保有という制度に対して疑問を持つことなのかも知れない。住むために本当に必要なものは、何なのだろう? 土地がないと、快適な生活は送れないのだろうか? 当たり前に思いすぎて考えてこなかったことが、様々な疑問となって湧いてきています。
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
出典:上記は、デザイン組織「GKグループ」が設立50年を記念してつくった「GK Group 50years 1952-2002」のなかにある、「量産住宅コア」を紹介しているページの一部です。

GKデザイングループ・GK史編纂委員会 著
株式会社六耀社
2002年11月15日