空想マガジン
ニシヤマ書店 第14回 GK Design 50 years 1952-2002 (3)
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
住宅を安くつくりたいと思っても、バス、トイレ、キッチンという水回りと、ドアや窓といった開口部など、基本部分を揃えるだけで300万円を軽く超えてしまう現実が大きく立ちはだかることに変革を起こしたい。それには値段、使い勝手、汎用性など様々な方向から満足できる工業製品をつくり、駆使することを試みたいということを、前回はお伝えしました。

では何から手をつけるべきか、もっといいアイデアがあるかも知れない……。さまざまな角度からアプローチしようと思いをめぐらせているうちに、あるひらめきがやって来ました。固定部分とも言える基本的な設備に300万円かかるということは、この固定部分さえあれば住宅は住まいとして成り立つとも言えるのではないか。極端ないい方をすれば、まず300万円で固定部分を確保すれば、家は出来るということです。狭小住宅を建てようとすると、思いのほか坪単価が高くつくという話をよく聞きますが、これも固定部分や土地の基礎工事などが少ない坪数にのってしまうからです。
自動車は後部席に横になる(=寝る)ことが出来るし、エンジンをかけていれば冷房も暖房もある。ちょっとした作業も出来る空間もあります。つまり移動する居住空間と言ってもいい。それに開口部の気密性などは住宅に比べて数段上です。水道やガスといったライフラインは来ていないけれども、それが300万円以下でも手に入れられるのは、実はすごいことかも知れません。自動車で出来ていることなのだから、住宅にだって転用出来ないことはない。そうすると「300万円住宅」は非現実的なことではないのではないか。まず固定部分を300万円で確保しさえすれば、リビングやダイニングといった部屋はあとから派生させればよくなる。一戸建てに限らず、集合住宅に広げていくことだって出来る。これはもちろん、土地の保有という、わが国では住宅を建てる際に大前提になっているステップを無視した考えであることは承知の上での仮定です。でも現実を変えることをおそれていては、未来を築くことは出来ない。
これは「GK Group 50years 1952-2002」の34ページに掲載されている写真です。GKが提案しているのは別のテーマですが、「300万円住宅」を端的にビジュアル化するとしたら、かなり近い。コアユニットとなる固定部分だけが肝心なもので、広くするのも狭いままでも思いのままに家をつくる。自由を感じさせる家でもあります。 このコアユニットの追求が、空想を現実にするステップとなるのは確実です。
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
出典:上記は、デザイン組織「GKグループ」が設立50年を記念してつくった「GK Group 50years 1952-2002」のなかにある、「量産住宅コア」を紹介しているページの一部です。

GKデザイングループ・GK史編纂委員会 著
株式会社六耀社
2002年11月15日