空想マガジン
ニシヤマ書店 第12回 GK Design 50 years 1952-2002
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
これまでは、写真集や統計、マナーブック、SF小説など、僕が読んできた本の中から「空想生活」の考えに近いものや、大きな影響を受けたものを紹介してきました。今回からはさらに一歩踏み込んで、僕がいま考えていることそのものを、みなさんに伝えていければと思っています。僕とみなさんを媒介する役割を、本が担ってくれるはずです。


1960年代は、わが国における量産化住宅の黎明期といえます。50年代中頃に現在のハウスメーカーと呼ばれる会社が起業しはじめ、国としても公団が次々と団地を建てました。その後もストック性の高い住宅供給の仕方を探り続けてきたのはみなさんご存知の通り。それは中国やアフリカではいまも重要課題かも知れませんが、社会が成熟すればするほど、住まいも自然回帰への道を歩もうとしている点があると、僕は強く感じています。その時にこそ、工業製品をパーツとして用い、組み合わせて使うことで出来る住宅が求められるのではないでしょうか。ライフスタイルに合わせて柔軟に素早くつくれて、しかも安価でクリエイティビティの発揮できる住宅が出来るなら、これぞ工業化の果たすべき役割だと思うのです。
未来へ向けてのヒントは、過去の試みから見つけることも可能です。60年代に工業化住宅の可能性を追い求めていたのは、メーカーや公的機関だけではありません。建築家やデザイナーも同じようにさまざまな側面からアイディアを練っていました。たとえばコアユニットという考え方。住宅を工業化・システム化する道を突き詰めると、もっとも単価の高い部材の量産というアイディアに行き着きます。つまり配管工事などの現場での作業が多い、台所を中心とした水回りの設備をぎゅっと凝縮して工場生産し、あとはトラックで現場にユニットとして持ち込んで現場の施工をなくすことができれば、数百万円の単位で住宅の値段が安くなる可能性があります。GKグループによるプロジェクト「量産住宅コア」は残念ながらスタディで終わっているものの、60年代にすでにこのような仮説に基づいてユニットバスやシステムキッチンの発展バージョンを実験的に世の中に対して提案していたのです。「いま見ればドリームデザイン」と同グループが後に述べているように、当時のテクノロジーでは、かなりラジカルな提案だったのかも知れません。しかしこの考え方は決して「夢」で終わらせるべきではなく、21世紀のいまだからこそ現実化すべき点をたくさん含んだ、魅力ある考えだと僕は思っています。
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
GK Design 50 years 1952-2002 デザイン世界探究
出典:上記は、デザイン組織「GKグループ」が設立50年を記念してつくった「GK Group 50years 1952-2002」のなかにある、「量産住宅コア」を紹介しているページの一部です。

GKデザイングループ・GK史編纂委員会 著
株式会社六耀社
2002年11月15日