空想マガジン
ニシヤマ書店 第11回 第三の波
第三の波
アルビン・トフラー、『第三の波』と聞くと、たぶん30代以上の方は「おぉ、懐かしい」と思われるのではないでしょうか? 1980年に発行された本書は当時、新しい時代の到来を告げるものとして一大ブームを巻き起こしました。題名だけは知っているけど手に取っていないという方も多いかも知れませんが、当時学生だった僕は、この本に育てられたと言ってもいいぐらい多大な影響を受けました。僕の「CUUSOOスピリット」を形成したという意味でも、このコーナーで紹介している本のなかでも抜きんでた存在です。
本書でトフラーは、第一の波を農耕社会、第二の波を産業社会、そして近い将来訪れるに違いない新たな社会=第三の波、それは情報化社会だと説いています。農業、産業を経て、知識が世界を動かすというわけです。パソコンやインターネット、携帯電話が爆発的に普及し、大半の仕事が自宅で行えるようになり、都市のあり方、さらには家族のあり方も変わるに違いないという彼の見解の大筋が実現していることは、21世紀に生きる僕たちが何より実感しています。さらにトフラーはSOHO環境の整った住宅を「エレクトロニクスコテージ」と名付け、このコテージがもたらすエネルギーや不動産投資の軽減、汚染の減少が期待できると推奨している。家族のあり方も、都市のあり方も変えるだろうと主張している。そう! いまはまだ僕の頭の中にしかない未来の住宅の出発点が、このコテージなんです。生産と消費を家庭内で行う「プロシューマー」の基地とも言うべき住宅を、僕は早くつくりたい。
本書の主張のなかには、かなりラジカルなものもあります。多夫多妻制(!)なんていま読んでもびっくりしちゃうし、笑っちゃう。それでも僕は、この本が大好きなんです。繰り返し読んでは、こらから訪れる未来を自らの手でつくり出したいとワクワクしている。CUUSOOが芽生えたきっかけとなった、種のような本なのです。

アルビン・トフラー著 徳岡孝夫監訳
中央公論社 中公文庫
1982年