空想マガジン
ニシヤマ書店 第10回 1980年
そこには想像を絶する未来がある!
1980年
1980年、それはもう四半世紀も前のこと。2006年の僕たちから見ると過去の話ですが、本書『1980年』は1950年代にアメリカで出版されたものです。雑誌『フォーチュン』が11人の識者に20数年後つまり1980年を予測してもらい、一冊にまとめたものです。「過去から見た未来」とでも言いましょうか、ちょっと不思議な時間軸で物事を見ることが出来るジャンルで、僕はいまこの手の本を集めているんです。
1980年はすでに過去ですから未来予測ではない、そして歴史を語っている内容でもありません。それに、「余暇は非常に多くなるだろう」「北極圏に熱帯の気候をながしこむことも出来るようになる」「世界の軍備を縮小する」、こういったコメントだけを拾うとトンデモ本のようにも見えますが、僕は過去―現在―未来を新たな視点で見る楽しみを、この本に見出しています。多くの人の強い思いが集まると環境さえ変えることが出来たり、影響力のある人物の思いがたくさんの人を突き動かしていくという、認知科学の領域でも実証されている現象を確認する面白さがある。もちろん、「過去の人はこんな事を考え、望んでいたんだ」ということを知る楽しみもあります。
そして空想生活にも通じるものがある。「こんなものがあったらいいな」という多くの人の思いが、周囲を変えていくのですから。CUUSOOには時空は存在しない、そう僕は考えています。過去に望まれていたものでその後実現したものはもちろんのこと、実現しなかったものを知ることは、現在そして未来に大きな示唆を与えてくれるはず。新しい「今」をつくることは、未来に踏み込む大きなステップ。このジャンルでお薦めの本があったら、ぜひ教えて下さい。

フォーチューン誌編 木下秀夫訳
実業之日本社
1956年