ニシヤマ書店 第8回 27世紀の発明王
『27世紀の発明王』、タイトルを見ただけでワクワクしませんか? この本は、ヒューゴー・ガーンズバックが記した名作SF。僕が手にしたのは子供向けに編集されたもので古本屋の店先で、衝動買いしました。「買ってよかった」面白いんです。現在に至るまで、何度も何度も読んでいます。空飛ぶ都市、宇宙船、テレビ電話……。死んだ細胞を組成するバイオ技術、発明の面白さが凝縮されていて、僕が発明家にあこがれる大きなきっかけを作ってくれたのがこの本だと言い切れるぐらい。いかに発明が、僕たち人間を未来に押し進めてくれるのかがよくわかります。
突拍子もない発明が、ロケットを生み、コンピュータを生み、生活を劇的に変え、快適に過ごすツールとなります。未来の発明は、まさに空想の本質。インパクトのある発明は、まだ実現していなくてもその効能がビビッドに頭に描けてしまうからすごいです。
僕はいま農業に大いなる関心を抱いているのですが、栽培方法の発明があれば、日々の生活のあり方や、食卓の内容にビックリするぐらい大きな変化をもたらすことが出来るのではと思うのです。たとえば家のなかでみんなが農業に取り組めて自給自足の一部を担えたら!それはとても素晴らしいことになると思います。
空想生活を発明を生みだす土壌にしたい。僕は真剣に考えています。デザイナーやクリエイター、エンジニアが生活者としての視点と日々の仕事で培ったスキルを併せて、発明を行い、ネットで仲間を集めることで需要をつくり、メーカーに作ってもらう。やがてその発明がロイヤリティを生み出し、発明家として生活できるようになったら。
まだまだ発明家という職業は日本の社会では認められるものではありません。しかし、空想生活の活動に参加してくれているデザイナーの何人かはすでにロイヤリティを受け取り始めています。ゆっくりだけれども、こつこつと発明を商品にするプロジェクトを積み上げることで、発明家を支えられるようなったら。そう考えて、毎日仕事をしています。
そして27世紀になる頃には、空想生活が多くの発明家たちの生活の糧を稼ぎ出す土壌になっていることを空想しています。
出版社:岩崎書店
原作:ガーンズバック
訳:福島正実