
吉越浩一郎さん
メルマガ読者のみなさんは、残業せずに毎日を過ごしていますか。定時に終われれば、週日でもプライベートの時間が作れる……そう分かっていても、机にたまった書類を横目に毎日残業、ということになっていませんでしょうか。フリーランスの方も、時間の融通が利きそうに見えて、結局仕事をして一日が終わるということになりがちだと聞きます。もちろん私も、定時退社を夢見つつ、あぁ気がつけば今日も残業(涙)。
「そういう毎日を続けているのが、日本人の仕事環境の現実です。僕はそれは大きな間違いだと確信し、『残業ゼロ』を提言してきたのです」というのは、吉越浩一郎さんです。吉越さんはトリンプ・インターナショナル・ジャパンの代表取締役として、「残業ゼロ」を実際に遂行。加えて2006年に退任なさるまで19年連続で増収増益を達成という、まさに有言実行、経営者の鑑のような人物です。時間は誰にとっても限りあるもの、その時間をいかに使うかで、30年後の自分の生活だって大きく変わるはず。そこで今回は吉越さんにご登場いただき、現状の課題と私たちへのエールをお聞きします。
「ピラミッド型にあてはめてみる時、仕事の絶対的なベースには、まず体力があるべきというのが私の考えです。充分な体力があってこそやる気が起き、能力を発揮できる。ですから欧米型の社会では、体力作りに余念がない。仕事の時間を削ってでもジムに行って(笑)、自ら鍛えているほどです。それが日本では体力をすり減らしてでも働き続けることが、ある種の美徳と見なされる。睡眠時間も充分に取れず、作業効率が低下していく。その結果、時間ばかりがさらにかかってしまう。悪循環以外の何ものでもありません」
――耳が痛いのと同時に、目から鱗が落ちるような吉越さんの言葉は、さらに続きます。
「仕事の対極とは何かという問いに対して、欧米のビジネスマンは『遊び』だと答えます。対して日本のビジネスマンは『休息』だという。健康を維持しながら貪欲に遊ぶ欧米と、消耗した身体と精神を休めることに終始してしまう日本。ここに大きな違いがあると思いませんか。グローバルな視点で見た時に日本の労働環境が特殊だということを、自覚すべきです。『疲れて』仕事をして、後は『休んで』いる人から、いいアイデアも生まれませんよね」
――吉越さんはとても物腰の柔らかい方です。ついついひき込まれる話し方をなさいます。でもとても厳しいことをおっしゃっている。「理解出来たら実行あるのみ」という力強いメッセージを、しかと受けとめて変革を起こさなければ、結局何も変わらない。残業しないと仕事が終わらないというのは言い訳で、どうすれば定時内に終えられるかを考えて、段取りよく片づけていく方法を見出すことが大事なのだと痛感しました。
「組織に長くいると、だんだんと考えが麻痺してしまう。自分がずっと残業してきたのだから、若い人たちも残業すべきだと信じて疑わない年配者もいるでしょう。若い人こそ、今とそして未来を信じて、変革を起こしていって欲しいのです。そうでないと、30年後という未来はやって来ません」
――変わるべきは個人なのでしょうか。そう吉越さんに聞いてみました。
「いえ、会社が変わることが先決です。組織全体の問題として自覚し、会社の在り方自体を変える覚悟で取り組むべき。それが出来る会社が、今後伸びていきます。幸いなことに日本でも、組織として残業ゼロに取り組む会社が出始めています。僕のところにも、多くの会社が相談にいらっしゃる。若い人の声がきっかけになっている会社もあれば、トップが問題に気づいて行動を起こす会社もある。とにかく行動あるのみ。仕事はゲームなんです。定年になったらゲームは終了、参加することは出来ません。そうなった時に、自分には一体何が残っているのかを考えてみて下さい。参加可能なゲームが会社以外にないなんて、悲劇です。つまり、人生のどこに重きを置くのかということです。仕事は大いに楽しむべき、でも人生は仕事だけではないんだという当たり前のことに、早く気がついてほしいですね!」
――目から何枚もの鱗が落ちた、吉越さんのお話でした。毎日の時間の使い方が、自分の未来を大きく変える。みんなで残業ゼロ、目指しましょう!
「残業ゼロ」の思想や手法がギッシリ詰まった、吉越さんの著書。ぜひご一読ください。 『「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター) ※こちらの作品はアマゾンアフィリエイトに登録しております。