
「30年なんて長すぎて、自分がどんな生活をしているかを考えるにはいたりません。そうですね、3年後なら見えますよ」。(株)オウケイウェイヴ代表取締役社長の兼元謙任さんは、開口一番そう答えました。
兼元さんが興したオウケイウェイヴは、Q&Aソリューションを提供する会社。社名のオウケイの「オウ(O)」は「Oshiete(教えて)」、「K」は「Kotaeru(答える)」の頭文字です。「世界中の人と人を信頼と満足でつないでいく」という経営理念のもと、兼元さんは世界規模で助け合いを推進するグローバルカンパニーを築き上げようと、スタッフとともに邁進しています。
「2010年には、『世界に聞く』というボタンを誰もが持っていて、ポチっと押せば世界の誰かが質問に答えてくれるようになっていたい。ボタンは、洋服のボタンの一つでもいいし、腕時計に内蔵されていてもいい。それがきちんと機能するような仕組みを、僕は完成させたいのです。逆説的に聞こえるかも知れませんが、本来は一人の人間が全てのことに対して意志を持って判断出来ることが求められていると思うのです。自分を高めていく過程で世界の誰かに教えを請うているわけで、それはつまり、自分自身とのキャッチボールなんですよね」
――自分が高まっていけば、何が必要かも分かってくるし、何が足りないかも自ずと見えてくるということでしょうか。
「ええ。社会機構が成熟して、衣食住に関しては世界の誰もがほぼ共通のものを無償で入手出来るようになっていくだろうし、なるべきだと考えています。当然ながら、それらはオートメーション化されている。そしてそれでも欲しいものは別個にオーダーし、手に入れるという仕組みが出来るはずです」
――それって空想生活の考え方に近いです。
「ところでIT革命って何の革命なのか分かりますか?」
――情報技術ですよ、ね……(やや不安)。
「そう、情報技術の大きな発展があったことを指している。それは視点を変えると、買う人と売る人の立場がひっくり返ったということなんです。これまでは売る人がモノを決めていた。でもIT革命によって、買う人がモノを決めていく、消費者主導なんです。そうなった時に大事なのは、自分は何が欲しいのかを分かっていること。それに先ほど話したように、衣食住というベースが整ったとしたら、生活のために働かなくていい社会になる。その時にも、自分が何のためにどのように時間を使って何を手に入れるのか、ハッキリ見定めていかないといけませんよね」
――確かに兼元さんの言うとおり、社会が成熟するということは、そこに暮らす人間が成熟するということ。食べるために、暮らすために働かなくてもいい社会になったとしても、何をしたいかが分からなかったら、その社会も時間も、宝の持ち腐れになってしまいます。
「何のために働くか、それを突き詰めて考えていくと、人間は何のために生まれたのかということに行き当たると思います。さらに突き詰めて考えることが我々に出来るとしたらその先には、争いのない社会があるはず。SF小説って未来のことを描き出しているはずなのに、そこでも人間は戦っている。現実と変わらない、つまり進化がないのです。それっておかしいですよね? いまの子供達にパラダイムシフトを起こす像を見せるべきだと思いませんか。自分が何が欲しいのかを分かるか、というのは即物的に思えますが、自己がどれほど高まっているかどうかの指標とも言えますよね。何が欲しいのかを描けるようになるために必要なのは、やはり教育。制約のない自由が目の前にあらわれたときに何を作り出すか、それも教育が左右するでしょう。空想生活は、多くの人たちに『デザインの教育』が出来ると思うのです。ぜひして下さい。期待しています!」。
――兼元さんの力強い言葉にこちらはうなずくばかり。3年後とおっしゃいながら、30年後そしてさらにその先を見ている方なのです。
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