
前回に引き続き、上野宣さんに話を聞きます。上野さんの会社「トライコーダ」が手がけるのは「情報セキュリティ」。コンピュータネットワークの安全を検査するサービスを提供し、危険を未然に防ぐ大切さの普及につとめています。そして同時に、講演や執筆でも活動なさっている。ただいま32歳、世間一般で言えばまさに働き盛り、30年後はこれまた世間一般では定年をちょうど迎えている頃です。その時、一体どんな生活を送っていると思いますか、上野さん?
「仕事はしていると思います。今の仕事を続けているか、ですか? それはどうだろう。俗っぽく聞こえるかも知れませんが、僕は30年後、『リッチ』になっていたい」
――海外に家を建てるとか、パーッと豪遊するとか?
「あ、そういうことではありません。心配せずに、定期的にお金が入ってくる状況をつくっておいて、その上で自分の好きなことをしていたいんです。それが豊かさ、つまりリッチなのだと思いませんか? 僕にとって大切な家族が、この後もハッピーでいられるようにしておきたい。たとえば毎月50万円収入があったら、家族がおいしいものを食べて、楽しく暮らせる。定期的な収入を得る方法は色々あると思う。本が売れたら印税という形になるでしょうし、所有欲はないけれども不動産だって定期収入確保のための手段としては有効です。デザイナーのみなさんは、ロイヤリティーという可能性もありますよね。それを成立させるためには、今から行動を起こしておかないといけません。将来したいことをするために今すべきことは何なのか、それを考えています」
――その通り! これだけしっかりとした考えを持ってらっしゃる頼もしさに、思わずはたと膝を打ちたくなる思いです。
――ところで上野さん、「自分の好きなことをしていたい」って、具体的にはどんなことですか。
「僕は『ロボット少年』だったんです。どれぐらいロボットにはまっていたかというと、NHKの『ロボコン』に出たぐらいです!」
――それはすごい。
「学校の友達と参加して、もう真剣でした。もちろん参加者はみんな真剣。設備もなく知識にも乏しい高校生ですから、出来ることには当然ながら限りがあるものの、とても充実した時間だった。あの楽しさは忘れられません。もちろん、ロボットへの熱は今ももちろん有り余るほどにあるんです(笑)。だから環境が整ったら、ロボットを作りたい。産業用ロボットではなくて、娯楽のためのロボットです。なぜ作りたいかと聞かれたら、面白いから。面白いものって、社会に役立つヒントがつまっているはずだし、そこに技術の粋も集まってくる。30年後、それに熱中できていたら最高ですね」
――上野さんのワクワクぶりを見ていると、こちらまで楽しくなります。
「僕、夢ってとても大事なことだと思うんです」
――それは空想と置き換えてもいいですか。
「はい。先に夢ありきで、全然かまわない。そこから逆算して、何をしたら夢が叶うかを考えるのって、大事ですよね。自分が動く原動力にもなるし、考えを深めていくきっかけにもなります」
――どんどん空想していって、それが現実になったら、またさらに空想していく。すればするほど楽しくて、充実した時間が過ごせるようになる。それってやっぱり素晴らしい。お話を聞いて、どんどんこれからもみんなと一緒に空想するぞー、と思いを新たにすることが出来ました。上野さん、ありがとうございました。